AlxisDataBlog-数学・物理学

前々回の続きです。こんな式が得られました。

\begin{align} Q(\langle x,y\rangle)=\sum_{l=1}^{N_k}Y_{kl}(x)Y_{kl}(y) \end{align}

$Q$ はどんな性質をもっていたかというと、ルジャンドル方程式

\begin{align} (1-t^2)\partial^2Q-2t\partial Q=\lambda_kQ \end{align}

の解になっていました。$Q$ は極をもたないので $k$ 次ルジャンドル多項式の定数倍で書くことができます。実際に何倍になっているのか調べてみましょう。$x=y$ の場合、最初の式に代入すると

\begin{align} Q(1)=\sum_{l=1}^{N_k}Y_{kl}(x)^2 \end{align}

これを球面に渡り積分して

\begin{align} 4\pi Q(1)=N_k \end{align}

これで $k$ 次ルジャンドル多項式 $P_k$ との関係が明確になりました。

\begin{align} P_k=\dfrac{4\pi}{N_k}Q \end{align}

以上をまとめると、球面調和関数とルジャンドル多項式の関係式が導かれます。

\begin{align} P_k(\langle x,y\rangle)=\dfrac{4\pi}{N_k}\sum_{l=1}^{N_k}Y_{kl}(x)Y_{kl}(y) \end{align}

短いですが、今回はここまで。次回は球面調和関数空間の直交性に対応するルジャンドル多項式の性質を調べていきます。(written by J.Nishigata)