AlxisDataBlog-数学・物理学

前回、エアリーパターンを定義しました。

\begin{align} \dfrac{\pi d_0^2}{(\lambda f_0)^2}\bigg\{\dfrac{\lambda f_0}{\pi R d_0}J_1(\pi Rd_0/(\lambda f_0))\bigg\}^2 \end{align}

描画してみれば分かる通り、エアリーパターンは同心円状に広がる減衰振動の振舞いをします。減衰している部分は干渉により光が打ち消し合っており暗環を形成します。暗環は内側から $1$ 次暗環、$2$ 次暗環…と呼びます。逆に明るい領域を内側からメインローブ、サイドローブと呼びます。

エアリーパターンの広がり方を定量化するために、$1$ 次暗環の半径を採用しましょう。零より大きい最小の $J_1$ の零点を $j_1$ とおくと

\begin{align} R=\dfrac{j_1\lambda f_0}{\pi d_0} \end{align}

が $1$ 次暗環の半径です。$f_0/d_0$ は F-値呼び、更に係数は有効数 $3$ 桁で $j_1/\pi\approx 1.22$ と置き換えるのが一般的です。

\begin{align} R=1.22\lambda F \end{align}

これをレイリー限界と呼びます。レイリー限界は焦点距離で結像する像の分解能ですので、無限遠補正光学系を多用する顕微鏡分野で用いられる分解能表記です。

レイリー限界を角度に書き換えてみましょう。

\begin{align} \theta=1.22\dfrac{\lambda}{d_0} \end{align}

これは角度分解能と呼ばれます。例えば $\lambda =460\mathrm{nm}$ を代入すると

\begin{align} \theta\approx \dfrac{116''}{d_0} \end{align}

が得られます。($d_0$ は $\mathrm{mm}$ の単位で代入することに注意)これはドーズ限界と呼ばれ、天文分野で用いられる分解能表記です。また、人工衛星関連では角度分解能に高度を掛けた地上分解能と呼ばれる分解能表記も良く使われます。

分解能の表現は多種多様ですが、基本的には角度で考えてから結像距離を掛けるという方針で考えれば混乱は避けられるでしょう。今回はここまで。次回は分解能の下限値について調べます。(written by J.Nishigata)

レイリー限界、ドーズ限界、分解能