AlxisDataBlog-数学・物理学

回転対称な PSF を考えましょう。

i). $k\big|[0,1]$ は滑らかな関数。
ii). $k\big|(1,\infty)=0$。

このような関数 $k:[0,\infty)\to\mathbb{R}$ を使って

\begin{align} K(x)=\dfrac{k(\|x\|/r)}{r^2} \end{align}

とおけば、台が半径 $r$ の円板であるような回転対称な PSF が定義できます。この PSF による畳込み

\begin{align} g(y)=\int_{\mathbb{R}^2}K(x)f(y-x)\,dS \end{align}

を動径方向と回転方向へ分離してみましょう。

\begin{align} g(y)&=\int_{\mathbb{R}^2}K(-x)f(y+x)\,dS\\ &=\int_{\mathbb{R}^2}K(x)f(y+x)\,dS\\ &=\int_0^r\bigg\{\int_0^{2\pi}tK(te(\theta))f(y+te(\theta))\,d\theta\bigg\}\,dt\\ &=\int_0^r\bigg\{\int_0^{2\pi}\dfrac{t}{r}k(t/r)f(y+te(\theta))\,d\theta\bigg\}\,\dfrac{dt}{r}\\ &=\int_0^r\dfrac{t}{r}k(t/r)\psi(t,y)\,\dfrac{dt}{r}\\ &=\int_0^1 Xk(X)\psi(rX,y)\,dX \end{align}

畳込みを $f\mapsto g$ という変換ではなく $f\mapsto\psi\mapsto g$ というように段階的に考えることにします。これに合わせて、デコンボリューションも段階的に考えれば良いでしょう。

i). $g$ から $\psi$ を求める方法を考える。
ii). $\psi$ から $f$ を求める方法を考える。

当面の目標は i) です。今回はとりあえず $g$ の導関数を計算してみましょう。

\begin{align} \partial_pg(y)=\int_{\mathbb{R}^2}K(x)\partial_pf(y+x)\,dS \end{align}

右辺を計算するためには、次のような外微分を計算します。

\begin{align} d(p^1Kf\,dx^2-p^2Kf\,dx^1)&=p^1(f\partial_1K+K\partial_1)\,dS+p^2(f\partial_2K+K\partial_2)\,dS\\ &=(f\partial_pK+K\partial_pf)\,dS \end{align}

剰余計算のイメージですね。これにより導関数は

\begin{align} \partial_pg(y)=\int_{\partial(\mathrm{supp}K)}p^1K(x)f(x+y)\,dx^2-p^2K(x)f(x+y)\,dx^1-\int_{\mathbb{R}^2}f(x+y)\partial_pK(x)\,dS \end{align}

右辺の第 $1$ 項は

\begin{align} &\dfrac{k(1)}{r}\int_0^{2\pi}\{p^1f(re(\theta)+y)\cos\theta+p^2f(re(\theta)+y)\sin\theta\}\,d\theta\\ &=\dfrac{k(1)}{r}\int_0^{2\pi}\langle p,e(\theta)\rangle f(re(\theta)+y)\,d\theta \end{align}

第 $2$ 項は

\begin{align} -\int_0^1\dfrac{X\partial k(X)}{r}\bigg\{\int_0^{2\pi}\langle p,e(\theta)\rangle f(rXe(\theta)+y)\,d\theta\bigg\}\,dX \end{align}

と変形してまとめると

\begin{align} \partial_pg(y)=\dfrac{k(1)}{r}\int_0^{2\pi}\langle p,e(\theta)\rangle f(re(\theta)+y)\,d\theta-\int_0^1\dfrac{X\partial k(X)}{r}\bigg\{\int_0^{2\pi}\langle p,e(\theta)\rangle f(rXe(\theta)+y)\,d\theta\bigg\}\,dX \end{align}

少し見通しが悪いですね。次回は $2$ 階の導関数まで計算してみて簡単な式が得られるか考えていきましょう。(written by J.Nishigata)

畳込みの導関数