AlxisDataBlog-数学・物理学

以前 OTF の説明で PSF のスペクトルを計算しました。

\begin{align} \mathscr{F}\mathrm{PSF}=\dfrac{g\ast\tilde{g}}{\|g\|_2^2} \end{align}

$g$ は開口関数をスケーリングしたものであり台有界です。したがって $\tilde{g}$ も台有界となり $g,\tilde{g}$ を畳込んだ $g\ast \tilde{g}$ も当然のことながら台有界となります。

\begin{align} \{\sqrt{p^2+q^2}:(p,q)\in\mathrm{supp}(g\ast\tilde{g})\} \end{align}

の最大値を遮断周波数と呼びます。物理学的には開口は有界なので、常に遮断周波数は存在します。試しにエアリーパターンの遮断周波数を考えてみましょう。開口関数は直径 $d_0$ の円板定義関数でしたね。このとき $g$ は直径 $1/(\lambda F)$ の円板定義関数になります。したがって $g\ast\tilde{g}$ の台は半径 $1/(\lambda F)$ の円板。このとき遮断周波数は $1/(\lambda F)$ です。

光学像の畳込みモデルでは遮断周波数は極めて重要な係数と考えられます。

\begin{align} h=\mathrm{PSF}\ast f \end{align}

畳込みモデルのフーリエ像は、畳込み定理により

\begin{align} \mathscr{F}h=\mathrm{OTF}\mathscr{F}f \end{align}

となります。遮断周波数を超えるスペクトル領域で、右辺は零である故に光学像の空間周波数である左辺も零になってしまいます。

零となってしまった周波数からは $\mathscr{F}f$ へ回復させることができないという問題が生じます。今回はここまで。次回からは、話題を変えて弊社独自のデコンボリューションの話をします。(written by J.Nishigata)