AlxisDataBlog-数学・物理学

前々回、前回と、$\{\psi,\partial_r\psi\}\mapsto f$ を計算するための反転公式を導きました。今回は、細かい部分は省略して、フィルタサイズに関してのみ考察してみようと思います。

$\{\psi,\partial_r\psi\}\mapsto\mathscr{H}f$ の計算を思い出してみましょう。

\begin{align} \mathscr{H}f(\theta,z)&=r\int_0^{\theta}(\partial_r-\cos\theta\partial_{y^1}-\sin\theta\partial_{y^2})\psi(r,z+re(\theta))\,d\theta\\ &\quad -\dfrac{r}{2\pi}\int_0^{2\pi}(2\pi-\theta)(\partial_r-\cos\theta\partial_{y^1}-\sin\theta\partial_{y^2})\psi(r,z+re(\theta))\,d\theta \end{align}

$\mathscr{H}f(\theta,z)$ の計算に必要なフィルタは $z$ を中心とする半径 $r$ の円です。続いて $\mathscr{H}f\mapsto f$ の計算を思い出しましょう。

\begin{align} 4\pi^2f(z)=\mathrm{pv.}\int_0^{2\pi}\dfrac{1+\cos(\theta-\tau)}{\sin(\theta-\tau)}\mathscr{H}f(\theta+\pi,z-re(\tau)+re(\theta))\,d\theta+2\pi\psi(r,z-re(\tau)) \end{align}

右辺の第 $1$ 項は $z-re(\tau)+re(\theta)$ を中心とする半径 $r$ のフィルタを $\theta$ に関して積分したもの、すなわち $z-re(\tau)$ を中心とする半径 $2r$ のフィルタになります。更に前回求めた $\tau$ で積分した公式は同様に考えて $z$ を中心とする半径 $3r$ のフィルタになることが分かります。

$\psi$ の PSF 径が $r$ なので、反転公式に $2r,3r$ のようなサイズのフィルタを使うことに違和感を感じないでしょうか。

$z-re(\tau)$ を中心とする半径 $2r$ のフィルタは $z$ から見れば長径 $3r$ 短径 $r$ と考えることもできます。このことからもフィルタサイズは、実は最小で半径 $r$ にできるのではないかと推測できます。

今回はここまで。次回は最小なフィルタの算出を試みようと思います。(written by J.Nishigata)

反転公式のフィルタサイズ